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整形外科
アクセス
2024.09.07
犬の腫瘍①(肝臓腫瘍: 結節性過形成)
年をとると動物も人と同じように癌にかかることが増えてきます。早くに発見できれば根治も見込める為、それぞれの動物の平均寿命の半分を過ぎたあたりからは定期的な健診をおすすめします。 今回はそのような癌の発見に少しでも早く気付けるように、当院に来院された小さながんサバイバーたちをご紹介していきたいと思います。 犬の肝臓腫瘍は無症状なことも多く、見つかった時にはすでに大きくなってしまっている場合が多く見られます。今回のワンちゃんも2年ほど前からお腹が張っているように思われていたようですが、病院でも指摘されなかった為気付かなかったようでした。 ぐったりしてご飯を食べないとの主訴で来院されたので各種検査を行ってみると、肝臓に大きな腫瘍があり、そこから腹水が生じているようでした。腹水が血様だった為開腹手術を実施したところ、肝臓の内側右葉が肥大し、壊死したところから出血していました。 肥大した肝葉ごと腫瘍を切除し、方形葉、尾状葉にも腫瘍性の変化が見られた為、部分切除を行いました。腫瘍を割ってみると多量の血液が出てきた為、悪性の腫瘍を覚悟していましたが病理検査の結果は結節性過形成という良性の腫瘤でした☺️ その後は体調も順調に回復しています。他の肝臓の部位にもびまん性に腫瘤が存在していた為、今後これらが壊死しないか注意深く見守っていきたいと思います。
2024.08.18
猫の尿管結石
猫の尿管は細く、尿石が生じることで詰まってしまうことがあります。これに気付かずにいると腎臓から膀胱へ尿が運ばれなくなり、腎臓が水風船のように膨らむ「水腎症」と呼ばれる状態になってしまい急性腎不全を引き起こします。 下の写真は手術前と手術後の腎臓のエコー画像です。黒い部分が尿ですが、腎臓がパンパンに腫れているのがわかります。 この猫ちゃんは長い間尿管結石があることが分からず、他の病院で慢性腎不全の治療として点滴をおこなっていた子でした。一度水腎症になってしまうと基本的に元の腎機能には戻りません。尿管結石が見つかった場合はすぐに手術をして結石を取り除く必要があります。 手術をする前と後で尿管造影検査を行いますが、術後は青丸で示した腎臓から赤線の尿管を経て黄色で示した膀胱に造影剤が流れているのがわかります。 術後は点滴の必要もなく、元気に過ごされている猫ちゃんを見て、本当に良かったと思います。
2024.08.03
猫の腫瘍①(口腔腫瘍: 扁平上皮癌)
年をとると動物も人と同じように癌にかかることが増えてきます。早くに発見できれば根治も見込める為、それぞれの動物の平均寿命の半分を過ぎたあたりからは定期的な健診をおすすめします。 今回はそのような癌の発見に少しでも早く気付けるように、当院に来院された小さながんサバイバーたちをご紹介していきたいと思います。 扁平上皮癌は猫の口の中にできる癌では最も多くみられ(口腔内癌の60〜80%)、処置が遅れると骨が溶け顔貌が大きく変わる為、猫ちゃんの生活の質を酷く低下させます。 今回紹介する猫ちゃんはいらっしゃった際には口に穴が開いており、出血傾向と下顎の腫脹が顕著に見られました。 扁平上皮癌は転移は少ないのですが、再発が見られる為、症状と癌の範囲から片側下顎骨全切除を提案しました。 切除した下顎骨と術後の顔貌です。術後にご飯を食べれなくなってしまう子も多い為、舌の動きを阻害しないように皮膚縫合をおこなっています。 頸部リンパ節への転移は見られませんでしたが、今後も注意して見守っていきたいと思います。 癌治療は早期発見、早期治療が重要です。高齢の猫ちゃんで多く見られる為、5歳を過ぎたら定期的な健診をお勧めします。いつまでも健康でいられるように日頃から気にかけてあげてくださいね😊
2024.07.17
内視鏡を導入しました
体の内部を見るにはレントゲンやエコーを使用しますが、直接見れる訳ではないため、これまではある種の病気を確定するには動物にメスを入れなければならず、治療に踏み切るかどうか悩ましいこともありました。 今回導入した内視鏡で動物の体に大きな負担をかけることなく消化管や気管、耳道内の検査、治療が可能になりました。 消化管内の異物はもちろん、気管内精査、耳道内ポリープの切除など様々な症例での活躍が期待できます。
2024.07.09
フトアゴヒゲトカゲの痛風
こんにちは、きたなか動物医院です🦎 今回紹介するのはフトアゴヒゲトカゲの痛風という病気です。人でも贅沢病という名でよく知られている痛風ですが、爬虫類のフトアゴヒゲトカゲも良くこの病気になることがあります。 フトアゴヒゲトカゲは体に取り込んだ窒素分(タンパク質)を尿酸という形で排出するのですが、取り込んだタンパク質が多すぎると排泄よりも体の中に蓄積する尿酸が多くなり、結果として結晶化した尿酸が腎臓などの内臓や四肢の関節に生じてしまいます。一度生じた結晶はなかなか無くならないため、治療が遅れると腎不全や足の痛みで苦しむことになります😔 実際に痛風となったフトアゴヒゲトカゲの写真です。右足首が腫れているのがお分かりでしょうか? 偏食から昆虫食から菜食に移行するのが難しい場合があり、この子もなかなか野菜を食べず関節痛風になってしまいました。飼い主様の献身的な給餌と内服で改善し、今では元気に野菜をもりもり食べて動き回っています☺️
2024.06.22
緑内障
皆様は緑内障という病気をご存知でしょうか?様々な理由で目の内部の圧力が上昇し、痛みや不快感で目が開けられなくなったり、目を気にしてこするような仕草がみられます。緑内障になると程度にもよりますが、最悪の場合失明することもあるため早期の対応が必要になります。 緑内障はその原因によって続発性緑内障と原発性緑内障に大きく分けられます。続発性緑内障は眼圧を上昇させる基礎疾患があるため、基本的に治療としては基礎疾患の治療を行いながら、必要があれば並行して内科的な眼圧コントロールを行っていきます。一方で原発性緑内障は目の構造自体に異常を生じることで眼圧の上昇が起こるため、内科的な眼圧コントロールが難しくなる場合が多く存在します。 当院では内科的な点眼による治療が難しい場合に外科的な治療も行っております。外科的な治療としては1. レーザーによる毛様体凝固術、2. シリコンボール義眼挿入術(ISP)、3. 眼球摘出術の3つを主に行っています。 1.レーザーによる毛様体凝固術:半導体レーザーを使用して眼房水の産生を阻害することで眼圧の上昇を抑える手術になります。メリットとしてはもともとの目を残せる点と費用が安価であることです。デメリットとしては再発する可能性や効果が期待できない場合があることです。 2.シリコンボール義眼挿入術(ISP):目の内部組織を取り出して変わりにシリコンボールを挿入します。元の目を残すことはできませんが、眼圧の上昇に伴う痛みから解放されるため、以前より元気になったとお話しを聞くことが多いです。メリットとしては見た目が元の状態に近い状態を維持できることです。デメリットは場合によってはドライアイや目のケアのために、点眼が一生必要になる可能性があることがあげられます。 3.眼球摘出術:目の組織をすべて取り除き、皮膚の縫合を行う手術です。メリットとしては目自体がなくなるため、点眼の必要はなくなります(原発性緑内障の患者さんは反対側の目も同様に緑内障になる可能性が高いため反対側の目に予防的な点眼をお願いすることもあります)。デメリットとしては顔貌が大きく変化することです。 緑内障は早期の対応が必要な緊急疾患です。目の異変を感じられた場合はご相談ください。
2024.06.03
休診のお知らせ
6月24日(月)、6月25日(火)は院内研修の為休診となります。内服の必要な方はお早めにご相談ください。 大変なご不便をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
2024.05.21
猫のフィラリア症
フィラリアという寄生虫をご存知ですか?犬糸状虫とも呼ばれ、その名前の通り主に犬などの心臓に寄生する寄生虫です。 このフィラリアは蚊を介して感染し、温暖な気候の沖縄では年中蚊がいる関係から、感染してしまったワンちゃんを見る機会がとても多いです。 今回は猫ちゃんが感染してしまい、呼吸が苦しそうという主訴で来院されました。基本ワンちゃんでは少数感染では無症状なことも多いのですが、猫ちゃんに感染した場合は本来の宿主でないことも相まってひどい症状が出て、原因もわからず呼吸困難で突然死することもあります。 レントゲン、エコーで胸水と肺動脈に寄生するフィラリア虫体が確認できたため、胸腔内ドレーンを設置した上で内科的な循環のコントロールを行いました。 今では胸水の貯留も落ち着いたため、フィラリア駆虫を行いつつ、フィラリアによって変形した心臓の治療を行っています。 フィラリアは一度感染すると心臓の変形を伴い、一生治療が必要な場合もあるため、予防がとても重要です。
2024.05.04
リハビリテーションに関して
当院では積極的なリハビリ治療を実施しています。 動物も高齢化が進んでおり、膝や腰の慢性的な関節痛によって起立が難しくなる患者様が増えてきています。こういった痛みに対してお薬で痛みを抑えてあげるのはもちろんですが、患部の血流をレーザー治療やマッサージでよくしてあげたり、筋肉量を増やすトレーニングを実施してあげることで改善が見られる場合も多く見られます。 抱えている病気、症状に対してリハビリ治療が適応かどうか、不安があれば一度お問い合わせください。
2024.04.12
前十字靭帯の部分断裂
6ヶ月の幼犬が足をびっこしていると来院されました🐶 レントゲン、エコーを実施したところ、前十字靭帯の損傷が疑われました。幼犬の為、包帯での固定を試みましたが、2週間経過しても改善が見られなかった為、靱帯の代わりとなる糸を設置する関節外法(ラテラルスーチャー)を実施しました。 実際に術中に前十字靭帯を見てみると、一部繊維が切れているようでしたが、靭帯は残っていました。残存靭帯への負荷を軽減する目的で糸を設置して手術は終了としました。 術後はリハビリを頑張ってもらい、5日程度で足もつけるようになった為退院としました。その後も定期的にリハビリを行っていきます。活発な子なのではやく自由に走り回れるようにしてあげたいですね🐕💨
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