猫の尿管はとても細く小さな結石でもすぐに詰まってしまいます。こういった結石に対して外科的に摘出手術をすることもあれば、摘出が難しい場合にはステントや皮下尿管バイパス(SUB)システムといった人工尿管を設置することもあります。ただし人工尿管に関しては設置後の膀胱出血などの合併症の問題や、耐用年数が8年程と決まっているため、設置時の年齢によっては将来的に交換の必要が出てきます。そのため当院ではできる限り動物自身の組織を使用して尿管の修復を行うことを目指しています。
他の病院で一年前に尿管のステントを設置してそれが破綻した猫ちゃんのレントゲン写真です。腎盂に結石があり、ステントが腎臓まで届いていませんでした。摘出したステント周囲には結石が多数付着しており完全に閉塞していました。(青線が腎臓、黄色破線がステント、赤線が術前に設置した腎瘻チューブ、黄線が結石、緑線が膀胱になります)


膀胱と腎臓を残った尿管で繋げて、腎盂の結石を摘出しました。術後のレントゲン写真では腎盂の結石がなくなり、ステントも抜去していますが、ステント周囲に付着した結石が遊離した尿管に残っています。尿管は2〜3cm程度あれば膀胱と接続できるため、当院ではSUBシステム設置の前にこの方法を提案しています。ステント設置は結石の問題が将来確実に生じるため当院では行っておりません。


尿管の動きがステントの影響で悪くなっていたため心配はありましたが、術後は腎盂の拡張と腎数値の悪化は落ち着きました。
もしも腎泌尿器に関してお困りのことがありましたら一度ご相談ください🙇